原告準備書面(2)を提出


 音声データ消去事件訴訟につき、被告側からは準備書面(2)が出ましたが、前記のとおり、内容が繰り返しでしかないこと、原告が準備書面(1)で問合せたことにまともに答えていないことから、原告は、すでに提出した準備書面(1)に引き続き(2)を提出したところです。
 原告準備書面(2)はこちらからご覧いただけます。
 その中では、東大和市文書管理規則の特異性について指摘しました。同規則では、公文書(行政文書)の規定の他に「情報文書等」という規定を設けています(第2条8号)。その「資料文書等」とは、起案文書・供覧文書以外の文書、または常時利用する必要のない電磁的記録であって、保存期間を定める必要がないものとしています。このような規定は、公文書管理法・情報公開法にある公文書既定や近隣他市の文書管理関係法令には見られません。市はいろいろ理屈を並べていますが、情報公開法からの抜け道を設けたものと言えます。
 情報公開法によれば、公文書とは「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(中略)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」(第2条2項 中略は引用者)です。これを素直に読めば音声データが公文書にあたるものであり、期間を定めて保存すべきものとみるのが自然です。被告(東大和市)代理人は、本件音声データは「資料文書等」にあたるのと主張しているのです(これに対し原告は、電磁的記録(同規則第2条2号)にあたる公文書であると主張しています)。
 その根拠として持ち出したのが、市役所内で職員が利用している「文書事務の手引」です。しかしこれは前記のとおり市職員が利用しているだけのものであり、法的根拠に欠けるものです。さらに言えば、これは被告東大和市自身が作成したものであり、仮に同市文書管理規則にある「資料文書等」という規定を認めるとしても、本件音声データが「資料文書等」にあたる根拠として、被告みずからが作った「手引」をもってするなどということは、自家撞着です。準備書面にも書きましたが、「オレの言うことが正しいのは、オレが言っているからだ。」と言っているようなものです。

 ところが、乙1号証として被告から提出された「文書事務の手引」には、この他にも問題点がありました。それは、この「文書事務の手引」全体を東大和市に情報公開請求して分かったことです(被告が証拠として提出したものはその一部でした)。
 会議等を記録した音声データが「資料文書」にあたると、(同「手引」の中にある)「資料文書について」に書かれていると被告は指摘して、乙1号証「文書事務の手引」を提出してきたのですが、(善意に解釈すればですが、)そのことには微妙な点で(しかし重大な)誤りがありました。
 この「資料文書について」という文章は、「文書事務の手引」本文の中にあるのではなくて、「参考資料」として示されている中の一文書だったのです。しかもその出処すら書かれてはいません。二次的な資料としての価値さえないものだったのです。
 音声データが「資料文書等」であることの根拠として「文書事務の手引」を持ち出してきたことからして「的外れ」であったうえに、「資料文書について」が、同「手引」の本文にはない文章であったことは、被告の完全な失態です。このことは準備書面(2)の中で厳しく指摘しておきました。
 少しわかりづらいことかもしれませんが、ぜひ本文を読んで下さい。
(2025.6.20)

 こちらのページでは、東大和市役所総務部総務課における違法な音声データ(情報公開・個人情報審査会口頭意見陳述の音声記録)消去に係る損害賠償請求訴訟について、2025年6月20日以降の文を公開しています。
 
2025年6月10日以前のものは「音声データ消去事件」をご覧ください。
「憲章」その後